スランプ試験は、固まる前のコンクリートの軟らかさを、コーンを外した後の中央部の下がり量で調べる試験です。基本手順は3層・各25回、引上げは2〜3秒です。指定値ごとの許容差、18cmの判定例、スランプフローとの違い、失敗原因を表で解説します。
この記事でわかること
- スランプ試験の測定対象と基本手順
- 許容差の表と指定18cmの判定例
- スランプフローとの違いと異常時の確認点

スランプ試験とは?
スランプ試験は、フレッシュコンクリートの軟らかさを下がり量で評価する試験です。 フレッシュとは、まだ固まっていない状態を指します。試験方法はJIS A 1101に定められています。

同じ条件では数値が大きいほど軟らかい傾向があります。ただし、スランプだけで強度や施工性のすべては判断できません。
スランプ試験の目的
荷卸し時などに、指定した軟らかさの範囲に入っているか確認します。 打込み・締固めのしやすさを検討する指標の一つです。

指定から外れた場合は、配合・運搬時間・温度・試験操作などを確認します。水の混入や配合ミスを疑う材料にはなりますが、数値だけで原因を断定しません。 強度は圧縮強度試験などで別に確認します。
スランプ試験の方法
基本操作は次のとおりです。コーンの高さは30cm、上端内径10cm、下端内径20cmです。

| 手順 | 操作と確認点 |
|---|---|
| 1. 準備 | 水平で剛性のある非吸水性の平板とコーン内面を湿らせ、コーンを固定します |
| 2. 詰める | 試料をほぼ等しい量の3層に分けて入れ、各層25回ずつ偏りなく突きます。2層目以降はほぼ前層に達する深さまで突きます |
| 3. ならす | 上面をコーン上端に合わせてならし、周囲の余分な試料を除きます |
| 4. 引き上げる | コーンをねじらず、2〜3秒で静かに鉛直に引き上げます |
| 5. 測る | コンクリート中央部の下がり量を0.5cm単位で測ります |
詰め始めから引上げ完了までは3分以内に行います。操作条件は建材試験センターの実技審査基準でも確認できます。
下がり量=30cm−引上げ後の中央部の高さです。中央部が12cmなら、スランプは18cmになります。最高点や広がりの直径を測る試験ではありません。操作の確認には国土交通省のコンクリート工事ポケットブックも参考になります。
スランプ試験の許容値
許容差は指定値から認められる増減幅です。次はJIS A 5308で扱う代表的な区分です。実際の受入判定では、発注仕様・コンクリートの種類・適用する規格版を照合します。
| 指定スランプ(cm) | 許容差(cm) |
|---|---|
| 2.5 | ±1.0 |
| 5、6.5 | ±1.5 |
| 8以上18以下 | ±2.5 |
| 21 | ±1.5(条件により±2.0) |
21cmの±2.0cmは、呼び強度27以上の普通・軽量コンクリートで、高性能AE減水剤を使用する場合です。建材試験センターの解説にもこの条件が示されています。
指定18cmの計算例
許容差±2.5cmなら、範囲は15.5〜20.5cmです。測定20.0cmは範囲内、21.0cmは範囲外です。範囲外の場合は所定の手順で報告し、再試験や受入れの判断を行います。
2019年版の参考資料はJIS A 5308:2019の公開資料です。改正情報は日本規格協会のJIS A 5308:2024案内で確認できます。2024年改正では普通コンクリートの指定スランプ10cmが廃止されており、表の「8以上18以下」は任意の値を注文できる意味ではありません。
スランプフロー試験の許容値
スランプフローは広がりを評価する試験で、下がり量を測るスランプとは区別します。
| 比較点 | スランプ | スランプフロー |
|---|---|---|
| 測るもの | 中央部の下がり量です | 広がりの直径2方向の平均です |
| 試験方法 | JIS A 1101です | JIS A 1150です |
次は指定値45〜60cmの許容差です。高流動性のコンクリートなどで使い、製品・発注仕様ごとの適用条件を確認します。
| 指定スランプフロー(cm) | 許容差(cm) |
|---|---|
| 45、50、55 | ±7.5 |
| 60 | ±10.0 |
国土交通省・公共建築工事標準仕様書(令和7年版)の流動化コンクリートの表6.15.3でも、この区分を確認できます。JIS A 5308:2019の参考資料と、現場の仕様書を混同しないようにします。
スランプ試験の失敗原因
試験操作の問題とコンクリート自体の変化を切り分けます。 異常値を都合のよい値へ読み替えないことが基本です。
| 状況 | 確認する原因・対応 |
|---|---|
| 片側へ崩れる、形が偏る | 平板の水平、突き方、引上げ方向を確認し、規定に従って再試験します |
| 値が小さい | 練混ぜ後の経過時間、温度、試料採取からの遅れなどを確認します |
| 値が大きい、材料が分離する | 配合・加水の有無・試料の状態を確認し、担当者へ報告します |
| 測定ごとの差が大きい | 採取方法、各層の突き回数、引上げ時間を確認します |
現場で無断加水して値を合わせてはいけません。 試験結果と状況を記録し、施工・品質管理担当者と生コン工場で対応を確認します。
まとめ
- [ ] スランプは中央部の下がり量と理解します
- [ ] 基本操作は3層・各25回で確認します
- [ ] コーンは2〜3秒で鉛直に引き上げます
- [ ] 指定値と許容差から判定範囲を計算します
- [ ] 異常値は記録・報告し、無断加水しません
FAQ
Q1. スランプ18cmの許容範囲はいくつですか?
許容差±2.5cmを適用する場合、15.5〜20.5cmです。別途指定された管理値がないかも確認します。
Q2. スランプが大きければ品質がよいですか?
大きいほどよいとは限りません。指定した軟らかさを満たすか、材料分離がないかなどを確認します。
Q3. コーンは何秒で引き上げますか?
基本は2〜3秒です。鉛直に引き上げ、ねじりや横揺れを与えないようにします。
Q4. スランプとスランプフローは換算できますか?
一律には換算できません。下がり量と広がりでは測る対象が異なるため、指定された試験方法を使います。
Q5. 値が範囲外なら、すぐに水を足してよいですか?
無断で加水してはいけません。試験操作と試料の状態を確認し、規定の再試験・報告・受入判定の手順に従います。


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