この記事でわかること
– 法面(のりめん) の定義と切土・盛土の違い
– 勾配の表し方(1:1.5 など)と地盤別の標準値
– モルタル吹付・植生工など法面保護工の選び方
法面とは何か:定義をシンプルに理解しよう
法面(のりめん)とは、道路・堤防・造成地などで土を切り取った面(切土面)や盛り立てた斜面(盛土面)のことです。
地山を掘削して生じる斜面を切土法面、土を盛って造られる斜面を盛土法面といいます。
法面の安定性は土質・高さ・勾配・地下水の影響を受けます。
関連用語:
– 法肩(のりかた):法面の上端(平らな部分と斜面の境界線)
– 法尻(のりじり):法面の下端(斜面と地面の境界線)
法肩から法尻までの斜面が法面本体であり、どちらの位置も施工管理・設計の基準点となります。
法面勾配の種類と基準値

勾配は「高さ:水平距離(垂直:水平)」で表します。
| 勾配記号 | 意味 | 角度(概算) | 水平距離の計算例(高さ3mの場合) |
|---|---|---|---|
| 1:0.5 | 高さ1に対して水平0.5 | 約63°(急勾配) | 3 × 0.5 = 1.5 m |
| 1:1.0 | 高さ1に対して水平1.0 | 45° | 3 × 1.0 = 3.0 m |
| 1:1.5 | 高さ1に対して水平1.5 | 約34°(標準) | 3 × 1.5 = 4.5 m |
| 1:2.0 | 高さ1に対して水平2.0 | 約27°(緩勾配) | 3 × 2.0 = 6.0 m |
水平距離の計算式:水平距離 = 法面高さ(m)× 勾配の水平比
例)高さ 3m・勾配 1:1.5 の場合 → 3 × 1.5 = 4.5 m
地盤別 切土法面の標準勾配(道路土工指針)
| 地盤の種類 | 標準勾配 |
|---|---|
| 硬岩 | 1:0.3〜1:0.8 |
| 軟岩 | 1:0.5〜1:1.2 |
| 砂・礫 | 1:1.5〜1:1.8 |
| 粘性土(N値≥10) | 1:0.8〜1:1.2 |
法面保護工の具体例

法面の侵食・崩壊を防ぐ保護工を状況に応じて選定します。
| 保護工の種類 | 特徴 | 適用場面 | 施工単価の目安 |
|---|---|---|---|
| 植生シート工 | 種子付きシートを張る | 緩勾配・土質良好 | 500〜800 円/m² |
| 植生マット工 | 厚みある植生基材を使用 | 侵食が起きやすい面 | 800〜1,500 円/m² |
| モルタル吹付工 | モルタルを圧縮空気で吹付 | 岩盤・急勾配面 | 2,000〜4,000 円/m² |
| コンクリート吹付工 | より強度が高い吹付 | 軟岩崩落防止 | 3,000〜5,000 円/m² |
| 石張り工 | 割石・間知石を積む | 湧水・流水がある面 | 5,000〜10,000 円/m² |
| アンカー工 | 鋼棒で地盤を固定 | 大規模崩壊が懸念される面 | 別途構造設計による |
※施工単価は地域・施工条件・材料費により変動します。あくまで目安として参考にしてください。
土木・建設現場での活用場面
法面設計は道路・河川・造成工事で必ず発生します。
- 道路工事:切土・盛土の法面勾配を設計し、保護工を選定
- 河川堤防:堤体の法面勾配は 1:2〜1:3 が標準
- 宅地造成:敷地の高低差を法面で処理し、擁壁工と組み合わせ
- ダム・貯水池:堤体法面に護岸コンクリートや石張りを施工
法面の安定性検討には円弧滑り法(簡易ビショップ法)などが使われます。
まとめ:法面の基本チェックリスト
- ☐ 法面は切土法面と盛土法面の2種類があることを理解した
- ☐ 勾配は「高さ:水平距離」で表すことを覚えた
- ☐ 標準勾配は地盤種別で異なり、砂礫は1:1.5〜1:1.8が目安
- ☐ モルタル吹付・植生工など保護工の選び方を把握した
- ☐ 法面高さ・勾配から法肩〜法尻の水平距離を計算できる
FAQ
Q1. 法面の「法」は何と読みますか?
「のり」と読みます。「ほうめん」ではありません。法尻(のりじり)・法肩(のりかた)も同様です。
Q2. 切土と盛土で勾配の基準が違いますか?
異なります。切土は地山の強度に依存し、盛土は使用材料の内部摩擦角に基づきます。一般に盛土のほうが勾配は緩くなります。
Q3. 法面の高さに制限はありますか?
道路土工指針では5m を超える場合は小段(のりこしこ)を設置することが基本とされています。
Q4. 法面工事で「のり面工」と「土留め工」はどう違いますか?
法面工は斜面をそのまま残して保護する工法、土留め工(擁壁・矢板等)は垂直またはそれに近い面で土圧を支える構造物です。
Q5. モルタル吹付の厚さはどのくらいですか?
一般的に5〜10 cmです。軟岩で崩落防止を目的とする場合は 10 cm 以上にすることもあります。

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