この記事でわかること
– アルキメデスの原理:浮力=排除した流体の重量
– 浮力公式 F = ρgV の各記号の意味と計算手順
– 地下構造物の浮上安定計算と土木水理への応用
アルキメデスの原理とは:定義をシンプルに理解しよう
アルキメデスの原理とは「物体が流体から受ける浮力は、その物体が押しのけた流体の重量に等しい」という法則です。
式で表すと F = ρgV(F=浮力、ρ=流体密度、g=重力加速度、V=排除体積)です。
物体の材質に関係なく、排除した流体の体積だけで浮力が決まる点が重要です。
浮力公式と各記号の意味

F = ρgV の3要素
| 記号 | 意味 | 標準値 |
|---|---|---|
| ρ(ロー) | 流体の密度 | 水:1,000 kg/m³ |
| g | 重力加速度 | 9.81 m/s² |
| V | 排除した流体の体積 | 物体の水没体積(m³) |
| F | 浮力(上向き力) | 単位:N(ニュートン) |
浮力のまとめ
| 状態 | 条件 | 結果 |
|---|---|---|
| 浮く(浮体) | F ≥ W(重量) | 物体が水面に浮く |
| 沈む(沈体) | F < W | 物体が沈む |
| 中性浮力 | F = W | 水中に静止 |
具体的な計算例:地下貯水槽の浮上検討

空の貯水槽(体積 10 m³、自重 15 kN)が地下水位以下に埋設されているときの浮上安定を確認します。
| ステップ | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 浮力 F | ρgV = 1000 × 9.81 × 10 | = 98,100 N = 98.1 kN |
| ② 自重 W | — | 15 kN |
| ③ 安定判定 | W < F → 浮上の危険あり | 対策が必要 |
| ④ 対策後の安定 | 土被り荷重 Ws を追加 | Ws ≥ 83.1 kN 以上必要 |
自重だけでは浮上するため、アンカー・上部土被り・注水で浮力に対抗します。
土木・建設現場での活用場面
アルキメデスの原理は地下水に関わるあらゆる場面で登場します。
- 地下構造物の浮上安定計算:空箱カルバート・マンホール・地下駐車場
- ケーソン工法:海底に沈める際の浮力とバランス計算
- 水中コンクリート打設:コンクリートが硬化するまでの浮力対策
- 浮体構造物(桟橋・水上浮体):設計荷重と排除体積のバランス管理
特に空のマンホールが大雨時に浮き上がる被害が多く、設計時に必ず浮上安定を確認します。
まとめ:アルキメデスの原理チェックリスト
- ☐ 「浮力 = 排除した流体の重量」と説明できる
- ☐ 公式 F = ρgV の3記号(密度・重力加速度・体積)を書ける
- ☐ 水の密度 1,000 kg/m³ と重力加速度 9.81 m/s² を使える
- ☐ 自重と浮力を比較して浮上安定の判定ができる
- ☐ マンホール・地下貯水槽などの浮上対策工法を挙げられる
FAQ
Q1. 浮力は物体の材質(鉄・コンクリート)によって変わりますか?
変わりません。浮力は「排除した流体の体積と密度」だけで決まります。材質は自重(重力)に影響しますが浮力には無関係です。
Q2. 「半分だけ水没している」場合の浮力は?
浮力は水没している部分の体積 V だけで計算します。半分水没なら V = 総体積の 1/2 です。
Q3. 海水の密度は淡水と違いますか?
違います。海水の密度は約 1,025 kg/m³ です。海洋構造物やケーソン設計では海水密度を使って計算します。
Q4. 大雨時にマンホールが浮上するのを防ぐ方法は?
ウエイトコンクリートの増設・アンカーボルト固定・蓋の重量増加が一般的な対策です。設計時に浮上安定係数 ≥ 1.2 を目標とします。
Q5. アルキメデスの原理と揚圧力の違いは?
揚圧力はダム底面や基礎底面に作用する上向き水圧で、アルキメデスの原理の浮力とは計算方法が異なります。ただし「水が押し上げる力」という意味では同じ概念です。

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