ヤング係数は、材料の伸び縮みのしにくさを表す値です。線形弾性範囲では応力をひずみで割って求め、単位はPa・MPa・GPaを使います。強度との違い、鋼やコンクリートの目安、単位換算と計算例を整理します。ひずみを百分率から直す手順も紹介します。
この記事でわかること
- ヤング係数の公式と単位のそろえ方
- 材料ごとの値の目安と計算例
- 強度・部材の剛性との違い

ヤング係数とは?
ヤング係数とは、材料の線形弾性範囲で、軸方向の応力とひずみの比例関係を表す定数です。 ヤング率・縦弾性係数とも呼び、記号はEです。同じ応力なら、Eが大きい材料ほど伸び縮みの割合が小さくなります。

基本式は E=σ÷ε です。応力は力そのものではなく、断面積あたりの力です。

| 記号 | 求め方・意味 | 単位 |
|---|---|---|
| σ(シグマ) | 応力=軸方向の力F÷断面積A | Pa、N/mm²など |
| ε(イプシロン) | ひずみ=伸びΔL÷元の長さL | 無次元 |
| E | ヤング係数=σ÷ε | Pa、MPa、GPaなど |
1MPa=1N/mm²、1GPa=1,000MPaです。ひずみ0.1%を代入するときは、0.001に直します。応力とひずみの関係が直線でなくなる領域に、一定のEをそのまま当てはめることはできません。
材料ごとのヤング係数の例
以下は材料を比較するための概略値です。実際の設計では適用基準や材料試験の値を確認します。
| 材料 | Eの目安 | 比較するときの注意 |
|---|---|---|
| 鋼 | 約200GPa | 強度が異なる鋼種でもEは大きく変わらないことがあります |
| コンクリート | 約20GPaの例 | 強度・骨材・材齢などで変わります |
| 木材(広葉樹の例) | 約15GPa | 樹種・繊維方向・含水状態などで変わります |
| ゴム | 配合や変形範囲で大きく変化 | 大きな変形を一定のEだけでは表せません |
数値の比較例はOpenStaxの材料別弾性係数表に基づきます。木材の繊維方向と直角方向など、条件の違う値を単純比較しないことが大切です。
ヤング係数の活用例
計算例:応力100MPa、ひずみ0.0005の場合
線形弾性範囲にある材料を想定します。
| 手順 | 計算・確認 | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 応力σを確認します | 100MPa |
| 2 | ひずみεを小数で確認します | 0.0005(0.05%) |
| 3 | E=100÷0.0005で求めます | 200,000MPa |
| 4 | 1,000で割ってGPaに直します | 200GPa |
元の長さが1,000mmなら、伸びは 0.0005×1,000=0.5mm です。これは計算練習用の条件で、材料の許容応力を示すものではありません。
橋梁の桁や建物の梁では、Eを使ってたわみを検討します。ただし、部材の変形はEだけで決まりません。断面形状・長さ・荷重・支持条件も関係します。梁の曲げ剛性はEと断面二次モーメントIの積、EIで表します。
ヤング係数と強度の違い
Eは弾性変形のしにくさ、強度は降伏や破壊に対する応力の限界を評価する指標です。
| 比較項目 | 主に確認すること | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| ヤング係数E | 同じ応力でどれだけひずむか | Eが高いだけでは高強度といえません |
| 降伏強度・引張強度など | 降伏や破壊に関する限界 | 強度の種類と試験条件を区別します |
| 部材の剛性 | 部材全体がどれだけ変形するか | 材料だけでなく形状や長さも関係します |
たとえば強度の高い鋼に替えても、Eと断面形状がほぼ同じなら、同じ荷重に対する弾性たわみが大きく減るとは限りません。たわみの確認と強度の確認は分けて行います。
まとめ:ヤング係数の基本チェックリスト
- [ ] ヤング係数・ヤング率・縦弾性係数は同じ意味だと理解しています
- [ ] 線形弾性範囲でE=σ÷εを使います
- [ ] 応力を力と断面積から求め、ひずみを小数で扱います
- [ ] MPaとGPaの換算を確認します
- [ ] 強度・部材の剛性をEと区別します
FAQ
Q1. ヤング係数が大きいとどうなりますか?
線形弾性範囲では、同じ応力に対するひずみが小さくなります。同じ力だけで比較する場合は、断面積などの条件もそろえる必要があります。
Q2. ヤング率とヤング係数は違いますか?
同じ意味です。縦弾性係数とも呼び、通常は記号Eで表します。
Q3. 鋼の200GPaは何N/mm²ですか?
200,000N/mm²です。1GPa=1,000MPa、1MPa=1N/mm²の順に換算します。
Q4. ヤング係数から強度を求められますか?
Eだけでは求められません。降伏強度や引張強度など、目的に応じた別の材料特性が必要です。
Q5. コンクリートのヤング係数は一定ですか?
材料・材齢・試験条件で変わります。また応力とひずみの関係は完全な直線ではないため、設計や試験で定めた評価方法を確認します。


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