
「自己治癒コンクリート」って何?もう維持管理が不要になるの!?土木初心者でよくわからない。
こんな悩みに答えます。
本記事の内容
- 自己治癒コンクリートとは?
- 自己治癒コンクリートのメカニズム
- 自己治癒コンクリートのメリット・デメリット
- 自己治癒コンクリートの価格
- この記事を書いてる人

この記事を書いてる私は、県土木職員5年経験した土木初心者。知識ゼロでもわかる初心者向けに土木情報を発信しています。
近年、土木業界において、自己治癒コンクリートが話題になりましたね。
ということで、本記事では自己治癒コンクリートについて解説したいと思います。
この記事を読めば、自己治癒コンクリートの初歩的な知識が身につきます。
目次
自己治癒コンクリートとは?

自己治癒コンクリートとは、コンクリートがひび割れた際に、自らそのひび割れを修復する機能を持つコンクリートのことです。
通常のコンクリートはひび割れが起こると、水や空気が内部に入り、鉄筋が腐食し、構造劣化が進んでしまいます。
自己治癒コンクリートは、そうした劣化の進行を防ぐために、ひび割れを「自動で」埋めることができます。
自己治癒コンクリートのメカニズム
自己治癒のメカニズムには、いくつかの方法があります。代表的なものは以下の通りです。
① 石灰生成型(バクテリア利用型)

- 特殊なバクテリアとその栄養源(乳酸カルシウムなど)をコンクリートに混ぜる
- ひび割れができ、水が入るとバクテリアが活動を再開
- バクテリアが炭酸カルシウム(CaCO₃)を生成し、ひび割れを埋める
② 薬剤カプセル型(カプセル封入型)

- 修復剤(エポキシ樹脂や水和物など)をカプセルに封入してコンクリートに混ぜ込む
- ひび割れが起こるとカプセルが破れ、修復剤が流れ出て固まり、ひび割れを埋める
③ 膨張材利用型(自己膨張材型)
- 水分と反応して膨張する素材(例:ベントナイトや特殊セメント)を使用
- ひび割れ部に水が浸入すると膨張して隙間を埋める
自己治癒コンクリートのメリット・デメリット
自己治癒コンクリートのメリット
- 🔧 メンテナンスコストの削減:ひび割れの補修頻度が大きく減少
- 🛡 耐久性の向上:内部への水・塩分の侵入を防ぐため、構造体の寿命が延びる
- 🌍 環境負荷の軽減:補修材料や工事の回数が減り、CO₂排出削減にも貢献
- 🧱 安全性の向上:構造物の劣化が抑えられ、安全性が長期間維持される
自己治癒コンクリートのデメリット
- 💰 コストが高い:通常のコンクリートより初期費用が高くなる
- 🧪 実用データが少ない:長期的な性能データや実績がまだ限られている
- 🧬 施工に注意が必要:材料の混合や施工条件に一定の制約がある
- 🌡 気候条件に影響:バクテリア型などは温度や湿度の影響を受けやすい
自己治癒コンクリートの価格
価格は製法や採用スケールによって異なりますが、通常のコンクリートの2倍〜6倍程度の初期コストがかかるとされています。
価格の目安(概算)
- 通常のコンクリート: 20,000〜30,000円/m3
- 自己治癒コンクリート:40,000〜180,000円/m3
ただ、長期的には補修費の削減や耐用年数の延長を加味すると、ライフサイクルコストでは逆に安くなる可能性もあります。

土木は維持管理の時代に突入。自己治癒コンクリートが一般的になる未来は近いのかもしれません。
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