
高炉セメントのメリットデメリットは?高炉セメントと普通セメントって何が違うの?あと、A種、B種、C種の違いって何?土木初心者でよくわからない。周囲にも聞けない。
こんな悩みに答えます。
本記事の内容
- 高炉セメントとは?
- 高炉セメントのメリット
- 高炉セメントのデメリット
- 高炉セメントA種、B種、C種の違い
- 高炉セメントA種、B種、C種の使い分け
- 高炉セメントと普通セメントの違い
- この記事を書いてる人

この記事を書いてる私は、県土木職員5年経験した土木初心者。知識ゼロでもわかる初心者向けに土木情報を発信しています。
本記事では、高炉セメントについて解説したいと思います。
この記事を読めば、コンクリートの初歩的な知識が身につきます。
目次
高炉セメントとは?

高炉セメントは、製鉄所で発生する副産物である高炉スラグを、ポルトランドセメントのクリンカや石膏と混合して製造されるセメントです。
高炉スラグにより、長期的な強度発現や耐久性の向上が期待されます。また、製造時のCO₂排出量が少なく、環境に優しいセメントになります。
高炉セメントのメリット
- 環境負荷の低減:高炉スラグの利用により、石灰石の使用量や焼成エネルギーが削減され、CO₂排出量が約40%削減されます
- 長期強度の向上:初期強度はやや低いものの、長期的には普通ポルトランドセメントを上回る強度を発現します
- 低発熱性:水和熱が少なく、マスコンクリートにおける温度ひび割れの抑制に効果的です
- 耐久性の向上:塩害やアルカリ骨材反応、化学的侵食に対する抵抗性が高く、構造物の長寿命化に役立ちます
高炉セメントのデメリット
- 初期強度の低さ:初期材齢(3~7日)の強度発現が遅く、冬季など低温時には特に注意が必要
- 養生期間の延長:強度発現が遅いため、適切な強度を得るには長めの養生期間が必要
- 使用上の注意:地盤改良工事などで使用する場合、六価クロムの溶出量が土壌環境基準を超える可能性があるため、事前の試験が推奨
高炉セメントA種、B種、C種の違い
高炉セメントは、含まれる高炉スラグの割合によりA種、B種、C種に分類されます。
種類 | 高炉スラグの割合 | 特徴 |
A種 | 5%超~30%以下 | 普通ポルトランドセメントに近い性質 |
B種 | 30%超~60%以下 | 耐久性や低発熱性に優れている |
C種 | 60%超~70%以下 | 耐海水性や化学抵抗性が高い |
高炉セメントA種、B種、C種の使い分け
- A種:ほとんど市場にない。
- B種:土木構造物や建築物に適している。ほとんどこれ。
- C種:高い海洋構造物や下水道施設、地中構造物などに適している。

調べましたがA種、C種はほぼ使用例がありませんでした。なので迷ったら、高炉セメントB種で問題ありません。
高炉セメントと普通セメントの違い
項目 | 高炉セメント | 普通ポルトランドセメント |
主成分 | ポルトランドセメントクリンカ + 高炉スラグ + 石膏 | ポルトランドセメントクリンカ + 石膏 |
高炉スラグの有無 | あり(5~70%混合) | なし |
初期強度発現 | やや遅い | 早い |
長期強度 | 長期的には同等または高い | 安定して高い(長期も早期も) |
水和熱 | 低い → マスコンクリートに有利 | 高い → 大型構造物では温度ひび割れの懸念 |
耐久性 | 高い(塩害・中性化・化学的劣化への抵抗性が強い) | 標準的 |
耐海水性 | 非常に高い(C種は特に優れる) | 劣る |
CO₂排出量 | 少ない(CO₂排出削減効果大) | 多い(焼成過程で多く排出) |
用途の主な違い | 耐久性が求められる構造物 | 一般建築物、住宅、短工期の現場 |
簡単に言うと、
- 高炉セメント →「環境に優しく、長持ちするが、硬化はゆっくり」
- 普通セメント →「早く固まり、標準的で万能だが、環境負荷は大きめ」
コメント