
U字側溝って何?1種とか3種の違いは?ベンチフリュームとどう違うの?土木初心者でよくわからない。周囲になかなか聞けない。
こんな悩みに答えます。
- U字溝(U型側溝)とは?
- L型側溝とは?
- ベンチフリュームとは?
- 自由勾配側溝(VS側溝)とは?
- この記事を書いてる人

この記事を書いてる私は、県土木職員5年経験した土木初心者。知識ゼロでもわかる初心者向けに土木情報を発信しています。
本記事は、土木でよく使う側溝について解説します。
この記事を読めば、側溝の超基礎的な知識が身につくはずです。
U字溝(U型側溝)とは?

U字溝(U型側溝)は、道路や宅地の排水設備として広く使用されるコンクリート製の側溝です。
その断面が「U」の字をしていることから、この名称が付けられました。主に雨水や生活排水を効率的に集め、排水路へと導く役割を担っています。
構造がシンプルで設置が容易であるため、さまざまな場所で採用されています。
U字溝(U型側溝)の種類

U字溝は、用途や設置場所に応じて以下のような種類に分類されます。
U型側溝
- 概要: 基本的なU字型の側溝で、上部が開放されています
- 用途: 主として車道に平行して設置され、道路の排水を目的としています
- 強度区分: 1種
上ふた式U型側溝
- 概要: U形側溝の上部に蓋を設置したタイプで、蓋が側溝の上に乗る構造
- 用途: 主として歩道に設置され、歩行者の安全を確保しつつ排水を行います
- 強度区分:
- 1種: 歩道用
- 2種: 車両(後輪一輪荷重32kN以下)が隣接して走行することがまれで、走行しても一時退避など低速である場所に設置
落ちふた式U型側溝
- 概要: U形側溝の上部に蓋を設置し、蓋が側溝内に落とし込まれる構造
- 用途: 主として歩道に設置され、歩行者の安全を確保しつつ排水を行います
- 強度区分:
- 1種: 歩道用
- 3種: 車両(後輪一輪荷重50kN以下)が隣接して走行することがまれで、走行しても一時退避など低速である場所に設置
これらの分類は、日本工業規格(JIS A 5372)に基づいており、用途や設置場所の条件に応じて適切なタイプを選定することが重要です。
U字溝(U型側溝)の用途
U字溝は、その構造と機能性から以下のような用途で広く使用されています。
- 道路の排水: 車道や歩道に降った雨水を効率的に集め、排水路へと導く役割を果たします。
- 宅地の排水: 住宅地や駐車場などでの雨水排水に使用され、浸水被害の防止に寄与します。
- 農業用水路: 農地の灌漑や排水路として利用され、農作物の生育環境を整えます。
- 工業用排水: 工場や倉庫周辺の排水設備として設置され、施設の保全と安全性の向上に貢献します。
設置場所や目的に応じて、適切な種類のU字溝を選定し、適切な施工を行うことが求められます。
L型側溝とは?

L型側溝は、断面が「L」の字をしたコンクリート製の側溝です。
片側に立ち上がり部分があり、もう一方はフラットな形状をしているため、主に道路の端部に設置されることが多いです。L型側溝の特徴として、以下の点が挙げられます。
- 片側が開放されているため、施工が容易で維持管理がしやすい
- フラットな部分は歩道や路肩と一体化しやすく、安全性が高い
- 雨水を効率よく排水し、道路や歩道の水たまりを防ぐ
L型側溝の用途
L型側溝は、主に以下のような用途で使用されます。
道路排水
- 車道と歩道の境界に設置され、雨水を効率よく排水し、道路の冠水を防ぐ。
- 路肩部分の舗装と一体化できるため、歩行者や自転車の安全性を向上させる。
歩道や駐車場の排水
- 歩道や駐車場の排水設備として利用され、車両や歩行者の通行を妨げにくい設計が可能。
- フラットな部分に舗装を施すことで、美観を保ちつつ排水機能を確保できる。
宅地・公園の排水
- 住宅地や公園などの雨水排水路として使用され、景観に配慮しながら排水機能を発揮。
- 開放的な構造のため、清掃やメンテナンスがしやすい。
L型側溝は、その形状と施工のしやすさから、都市部や住宅地、商業施設周辺など、多様な場面で利用される側溝です。
ベンチフリュームとは?

ベンチフリュームは、主に農業用水路として使用されるプレキャストコンクリート製品で、底面が広く、側面が比較的低い構造を持つ水路です。
その設計により、水の流れがスムーズで、土砂の堆積を防ぐ効果があります。
ベンチフリュームの種類
ベンチフリュームは、主に以下の2種類に分類されます。
1型(突合せ型)

- 概要: 直線的に接続するタイプで、各ユニットを突き合わせて設置します。
- 用途: 主に排水路として使用されます。
- 特徴: シンプルな構造で、設置が容易です。
2型(ソケット型)

- 概要: 各ユニットの端部にソケット(差し込み口)があり、互いに差し込んで接続します。
- 用途: 主に用水路として使用されます。
- 特徴: 接続部の密閉性が高く、水漏れを防止します。
ベンチフリュームの用途
ベンチフリュームは、その構造と機能性から、以下のような用途で広く使用されています。
- 農業用水路: 灌漑用水を効率的に供給するための水路として使用されます。
- 排水路: 農地や工業地帯の排水を迅速に行うための設備として設置されます。
- 道路側溝: 道路沿いの排水設備としても利用され、雨水の排出を助けます。
U字側溝とベンチフリュームの違い


U字側溝(U型側溝)とベンチフリュームは、形状や用途において以下の違いがあります。
- 形状の違い:
- U字側溝: 断面が「U」字型で、底面よりも側面が長いか、同じ長さ
- ベンチフリューム: 底面が広く、側面が比較的低い構造
- 用途の違い:
- U字側溝: 主に道路や宅地の排水設備として使用され、車両の通行がある場所でも耐えられる強度
- ベンチフリューム: 主に農業用水路や排水路として使用され、大量の水を効率的に流す設計
自由勾配側溝(VS側溝)とは?

自由勾配側溝は、排水勾配を現場の条件に応じて自由に設定できる側溝です。
これにより、地形や設置場所の制約を受けず、効率的な排水が可能となります。
自由勾配側溝の用途
自由勾配側溝は、以下のような用途で使用されます。
- 道路排水: 道路の排水勾配を自由に設定できるため、複雑な地形や設置条件に対応可能です。
- 農業用水路: 農地の排水や灌漑用水路として、地形に合わせた設計が可能です。
- 工業用地の排水: 工業地帯での排水システムとして、効率的な水流を確保します。
U字側溝と自由勾配側溝の違い
U字側溝と自由勾配側溝の主な違いは以下の通りです。
- 排水勾配の設定:
- U字側溝: 排水勾配が固定されており、道路の縦断勾配と一致させる必要あり
- 自由勾配側溝: 排水勾配を現場の条件に応じて自由に設定可能
- 適用場所:
- U字側溝: 一般的な道路や宅地の排水に使用
- 自由勾配側溝: 複雑な地形や特定の排水条件が求められる場所に適している
- 施工の柔軟性:
- U字側溝: 設置場所の勾配に制約を受ける
- 自由勾配側溝: 地形や設置条件に応じて柔軟に対応可能
これらの違いにより、現場の条件や要求される機能に応じて、適切な側溝の選定が重要となります
U字側溝、L型側溝、ベンチフリューム、自由勾配側溝の違い(比較表)
項目 | U型側溝(U字溝) | L型側溝 | ベンチフリューム | 自由勾配側溝 |
形状 | U字型(断面がU字) | L字型(片側が垂直) | 底が広く、側面が低い | 排水勾配が自由に設定可能 |
用途 | 道路・宅地の排水設備 | 道路側溝(排水+防護) | 農業用水路・排水路 | 複雑な地形での排水、農業用 |
強度 | 高い(車両通行可能) | 高い(歩道・車道用) | 中程度(農業・排水向け) | 中程度(条件による) |
排水能力 | 普通~高い | 普通(道路沿いの排水) | 高い(大量の水を流す) | 高い(勾配設定で調整可能) |
施工のしやすさ | 比較的簡単 | 比較的簡単 | 簡単(接続しやすい) | 複雑な地形に対応可能 |
主な設置場所 | 道路・宅地 | 道路沿い・歩道 | 農地・排水路 | 複雑な地形や特定の排水条件 |
この比較表により、各側溝の特徴や用途が明確にわかります。
適切な側溝を選定するための参考にしてください。
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