
暑中コンクリートって何?施工上の留意点は?温度や養生、打ち込み時間は?土木初心者でよくわからない。周囲になかなか聞けない。
こんな悩みに答えます。
- 暑中コンクリートとは?
- 暑中コンクリートの問題点
- 暑中コンクリートの留意点
- この記事を書いてる人

この記事を書いてる私は、県土木職員5年経験した土木初心者。知識ゼロでもわかる初心者向けに土木情報を発信しています。
コンクリートは温度の影響を強く受ける材料であり、施工時の気温が高すぎると、強度の発現や耐久性に悪影響を及ぼします。そのため、気温が特に高い夏頃に施工される暑中コンクリートは特別な対策が必要になります。
本記事では、それぞれの特徴、問題点、対策方法について詳しく解説します。
この記事を読めば、暑中コンクリートの品質向上につながります。
について超簡単解説!_20250307_143518_0000-300x169.jpg)
暑中コンクリートとは?

暑中コンクリートとは、日平均気温が25℃を超える期間に打設されるコンクリートを指します。日本では主に7月から9月が該当します。
なぜ暑い時のコンクリート施工に注意が必要かというと、超簡単にいえば「暑い時にコンクリート打つとボロボロで低品質なコンクリートになるから」ですね。
暑中コンクリートの問題点
暑中コンクリートの問題点は、以下のとおりです。
①作業効率の低下
高温によりセメントの水和反応が促進され、コンクリートの凝結が早まり、コンクリートのスランプ(流動性)が低下しやすく、所定のワーカビリティを維持するために単位水量が増加する傾向があります。
一般的に、練り上がり温度が10℃上昇すると、単位水量が2~5%増加するとされています。これにより、施工時間の短縮や仕上げ作業の遅れが問題となります。
②プラスチック収縮ひび割れの発生

打設直後のコンクリート表面が急激に乾燥することで、プラスチック収縮ひび割れが生じやすくなります。特に高温・低湿度・強風の条件下では注意が必要です。
■プラスチック収縮ひび割れ
コンクリートが固まる前の「プラスチックな状態、すなわち、可塑性のある、変形しやすい状態」において、直射日光や風による水分の蒸発によりコンクリート表面が急激に乾燥することよって生じるひび割れ。固まる前のため、速やかにタンピングにより処置。■乾燥収縮ひび割れ
引用元:プラスチック収縮ひび割れ – きょうのエスキス
コンクリートが固まった後の乾燥収縮ひび割れ。エポキシ樹脂注入工法などによりひび割れを埋めて補修しますが、仕上材の施工後にひび割れが進行しないように、仕上材の施工前までにできる限り長期間経過し、ひび割れができる限り終了した後に補修を行う計画とする。
③コールドジョイントのリスク増大

凝結の早まりにより、打継ぎ部分での一体化が不十分となり、コールドジョイントが発生しやすくなります。
④温度ひび割れのリスク増大

高温下での打設により、コンクリート内部の温度差が大きくなり、温度ひび割れが発生しやすくなります。
暑中コンクリートの留意点
暑中コンクリート施工では、以下の点に留意する必要があります。
①材料の冷やす
コンクリートの練り上がり温度を下げるため、骨材や混和水を冷却します。
骨材の温度を±2℃、水を±4℃調整することで、コンクリート温度を±1℃調整できます。
②適切な混和剤の使用
遅延型の混和剤を使用することで、凝結時間を調整し、施工時間の確保やスランプロスの抑制が可能です。
③打設時間の工夫
日中の高温時を避け、早朝や夜間に打設を行うことで、コンクリートの温度上昇を抑制します。
④打設後の養生

打設直後から適切な養生を行い、コンクリート表面の急激な乾燥を防ぎます。
シートで覆う、散水する、保湿性の高い養生材を使用するなどの方法があります。
⑤運搬時間の短縮

練り混ぜから打設完了までの時間を短縮することで、コンクリートの品質低下を防ぎます。
JASS5では、日平均気温が25℃以上の場合、練り混ぜから打ち込み終了までを1.5時間以内と規定しています。
そのため、適切な運搬計画をたてておく必要があります。
⑥適切な配合設計
中庸熱セメントや低熱セメントの使用、単位水量の調整、混和剤の適切な選定などにより、コンクリートの温度上昇やスランプロスを抑制します。
⑦型枠や配管の冷却
型枠や配管に散水することで、コンクリートの温度上昇を抑制します。
これらの対策を適切に組み合わせることで、高温環境下でも品質の高いコンクリート構造物を構築することが可能です。特に、施工計画段階から高温対策を考慮し、現場での迅速な対応が求められます。
コメント